小西行長くんの日記:第47回 あくびが出るほど退屈だろう
3月15日
あくびが出るほど退屈だろう、俺達の関係は。
大坂城下にはいつの間にか、茶の湯、碁、和歌、絵画など、趣味で繋がるサロンがたくさんできていた。
そこでキリシタンで西洋かぶれの私は早速、ラテン語サロンに入った。ここでは、”ラテン語を熱心に学んでいる小西くん”ということで、豊臣政権の中枢から外れてしまった私のような脱落者でも、ちょっとした人気者なれてしまう。
多分、今の世間や私が渇望しているのは、ご近所付き合いみたいな息苦しい親密性ではなく、こういったサロンで得られる公共的な承認みたいな方なんだと思う。
あくびが出るほど退屈だろう、清正と俺の関係は。
熊本に戻れば、ちょっとした人気者からごく普通の中年男に戻るだけ。
けれど自分と似ている人間同士の集まりだけでも、人生つまらないないだろう。
だから私は、仏教徒で常に槍ばかり振り回している、自分とは全く違うタイプの人間-つまり他者性を強く感じさせるおまえと格闘することをやめないのかもしれない。
だけどやっぱ、あくびが出るほど退屈だろう、俺達の関係は。
熊本に戻れば、ちょっとした人気者からごく普通の中年男に戻るだけ。
なのに清正のかあちゃんに渡す土産を大坂城下で無意識に探しているオレって何なんだろう。見上げた空に桜のつぼみを見つけても苦笑するしかなかった。
カテゴリ:小西行長くんの日記 | 2013-03-15 公開
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