石田三成くんの日記:第34回 雨と不便とすれ違い


石田三成 戦国23年2月24日

五奉行として忙しく働く私は、取っていなかった正月休みを今頃いただいた。

この休みを利用して私は、家臣の蒲生郷舎(さといえ)を連れて、大坂城から大谷吉継の居城、福井県の敦賀城を訪ねた。しかし友人の大谷は留守であった。

大谷の長女に事情を聴くと、大谷は私が正月休みに入ったという情報をいち早くキャッチするや否や、治部醤油と刑部醤油を持って私の居城である滋賀県の佐和山城に遊びに行ったという。

私と郷舎は仕方なく佐和山城に向かった。「戦国にも携帯があれば、こんなすれ違いにならずに済んだものを。」と郷舎は溜息を吐いた。

「携帯なんかで繋がりたくない。」

と言った私の頭上に、ポツリ、ポツリ、と雨が降ってきた。

今頃、大谷様は佐和山城で、殿が敦賀城に行ったことを知り、治部醤油と刑部醤油を抱えたまま、蒼ざめているのでしょうか。

「戦国に携帯がないお蔭で、郷舎の想像力もたくましくなる。不便って素晴らしいな。」「いやですよ、殿のおかしな価値観に私を巻きこまないで下さい。

私と郷舎は大きな声で笑った。笠もなければ前に進めない程、激しくなっていった雨を気にも留めずに。

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