小西行長くんの日記:第36回 故郷
8月15日
さあ、今日も俺の叫びを聞いてくれ。
今年の夏も、帰りそびれた故郷を思いながら、もう誰の声も聞こえない程、孤独なヒトを探していた。
さあ、今日も俺の叫びを聞いてくれ。
今年の夏も、帰りそびれた故郷を思いながら、誰かを求め、声をからして泣き叫ぶヒグラシの声を聴いていた。
「わしより寂しく孤独な小西ご近所行長!」
振り返ると、寺に参拝した帰りの加藤ご近所清正が立っていた。「小西おまえ、存在自体がうっとうしいからお盆くらい帰省しろよ。」
「お互い様だろ。」と私は溜息混じりに言った。「故郷である尾張国にわしが帰った所で、わしの居場所は既に尾張国にはない。自分の意思に関わらずわしにはもうここ熊本、肥後国しかない。」
さあ、今日も俺の叫びを聞いてくれ。
今年の夏も、帰りそびれた故郷を思いながら、もう誰の声も聞こえない程、孤独なヒトを探していた。
さあ、今日も俺の叫びを聞いてくれ。
自分の意思に関わらず、私にはもうここ熊本、肥後国しかない。その肥後国で私は、最初で最後になる誰かを求め、声をからして泣き叫ぶヒグラシの声を、清正とただ聴いているしかなかった。
カテゴリ:小西行長くんの日記 | 2010-08-15 公開
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