淀殿の日記:第11回 色気のないお守り


淀殿 戦国21年5月9日

世間が仕事のやりがいや趣味に熱狂する中、わらわはただ恋がしたかった。わらわにとって恋より楽しくて苦しいものは、どんなに探してもこの世にはなかった。

大坂城に勤務する大野治長は、戦国GWにどこかに遊びに行ったらしい。そして彼はわらわに土産を買ってきてくれた。それを、わらわに仕える大蔵卿(おおくらきょう)から今日、間接的に受取った。大野治長と大蔵卿は親子である。

交通安全

と書かれた名もなき神社のお守り。大野治長が地味なら、買ってくる土産も地味すぎて驚く。それでもわらわは、うれしかった。このお守りがあれば、わらわは馬に引かれることはないであろう。滅多に城の外に出ることもないが。

大野治長を振り向かすには、まだまだ時間がかかりそうじゃが、ほんの少しだけわらわは、大野治長に近づけた気がした。

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