北条氏康くんの日記:第19回 小田原WOMANⅣ


北条氏康戦国20年8月29日

家臣の清水が、城下から、おなごに大人気の小田原WOMANという戦国雑誌を、また買ってきた。私は、もーいいよー、それ飽きたわーと言うと、清水は「今月号の記事は、北条幻庵様のインタビューですよ。」と言った。私は、床に寝そべって、ういろうを食べていたのだが、それを聞いて、反射的に起き上り、正座し、襟をただして、小田原WOMANをめくった。

記者:今月は、北条家のドン、北条幻庵(げんあん)様にお話を伺いました。幻庵様は、北条家初代・早雲様の三男にあたります。文武両道、仁徳もある、北条家の長老です。

幻庵:わしの目の黒いうちは、北条家の栄華は永遠であろう。氏康と綱成(つなしげ)が、調子ぶっこいている時は、わしに相談するがいい。わしは、北条家の監査役と思え。

記者:なんと、心強い。さすがは長老。話は変わりますが、現北条家当主・氏康様と、家臣である綱成様は、幼なじみにして、よきライバルとお伺いしております。おふたりの青年時代のエピソードなど、何かございますか。

幻庵:そういえば、ふたりとも同じヒトに恋をしたことが、あった。確か、北条家の甲冑を作っている所の娘じゃったか?

記者:勝敗は?!

幻庵:まだついておらぬのでは、ないか?

記者:おふたかた、既にご正室が、いらっしゃいますが?!

幻庵:そうじゃ。だから、同じひとを好きになった氏康も綱成も、思いを相手に伝えないまま、一生、心にしまっておくのであろう。森羅万象、この世のすべてに、決着なり、こたえを出す意味はないであろう。

ぱたん・・・

私は、小田原WOMANを閉じた。幻庵様・・・なんの暴露ですか?!ひーッ!

同じひとを好きになった綱成と私、か。そんなこと、長い間、忘れていた。

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