石田三成くんの日記:第10回 蒲生郷舎と島左近
10月29日
私は今、大坂城を離れて自分の国の近江、滋賀県にいる。私は大坂城のことで忙しく、近江のことは家臣に任せている。私は近江の様子が知りたくて、城下を隈なく歩き周った。随行に家臣の蒲生郷舎(がもうさといえ)をつけた。
「近江国は、今年も豊作であるし、治世に問題もなく安堵致した。郷舎たちのおかげだな。」
「いえ、私共は殿(三成)のいいつけ通りに、国を治めているだけでございます。それより、大坂では、殿には過ぎたるものがふたつある、佐和山のお城と家臣の島左近、と揶揄する者がいると聞きますが、本当でございますか。」
「ああ、よく耳にする。」「殿は平気なのですか。」
「いや、平気でない。でもそんな時には、自分には過ぎたるものは、ふたつではなく、三つあって、蒲生郷舎もどうせなら加えていただきたい、と思うことにしている。」と私は言った。郷舎は「左近殿に私が怒られまする。」と笑った。
カテゴリ:石田三成くんの日記 | 2007-10-30 公開
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