北条氏康くんの日記:第41回 後北条二代・氏綱の想い出


北条氏康6月21日

「関東全域を制圧するどころか武蔵国(東京・埼玉)さえ、まともに治められない。もう疲れたよ、パトラッシュ・・・」と私は机の上で開いていた検地帳を閉じ、綱成の肩にもたれた。

私はパトラッシュではありません。」と家臣の綱成は、読んでいた兵法書を閉じて私に冷たい視線を送った。

「冗談だよ。」私は綱成の肩から頭を起こした。「武蔵国の豪族、三田綱秀の頑固なこと。綱秀は三田領内の寺社の支配権を、北条になかなか譲り渡してはくれない。」

仕方ありません。関東の名門が、どこの馬の骨ともわからない北条の配下になるなど、プライドが許さないのですから。」「いつまでも成り上がり者扱いされて、こっちだってプライド、ズタズタだよ。もう全てに自信がなくなってきた・・・」

そんな時こそ強い思いを持て。強さのあまり、信念となるほどの思いを。強さのあまり、物ごとを実現に導くほどの信念を。

「それ誰の言葉?」「氏綱さまの言葉です。今川家の派閥争いに負け全てを失い、仕官先を求め、北条家にやって来た私に氏綱さまはそう言ってくださいました。

「父上がそんなことを。」「はい。氏綱さまは私を、北条家の武将として深い愛情で育ててくださいました。まるで実の子の様に私を、よく叱り飛ばしてくれました。

「お互い父上には数えきれない程、よく叱られたよね。全てが懐かしい。何だか励まされたよ。ありがとう、パトラッシュ・・・」「だから私はパトラッシュではありません。

綱成と私は笑った。お互い、忘れられない、越えられない、今は亡き北条二代・氏綱という大きな存在を感じながら・・・

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