松永久秀くんの日記:第36回 助けてやりたい女
この世にただ一人、この俺様をふった女というのが、実はいる。今度、信長が攻めようとする国は、たまたま、その女が住む国だ。
俺様にはもう関係ない女だし、既に他の国に逃げたかもしれない。それ以前に、身分が高くて、頭も顔もそこそこいい男と結婚しているかもしれない。俺様が心配するまでもないかもしれない。
それでも俺様は今日、信長に頭を下げた。女の名前を書いた紙を信長に渡し、この度のいくさから、もしその女を見つけたら逃してやってほしいと、俺様は頭を下げた。身分の高い美人か何かかと信長に聞かれ、俺様はどこにでもいる、普通の女だと答えた。
無条件でわしにそんな女を救えというのか、これは面白い、光秀に申し伝えておく、と信長は何故か俺様の申し出を、あっさりOKした。
人生というのは、こいつにだけは頭を下げたくはないという人間に、頭を下げなければならない場面が何度もある。それでも仕方ない。恥をかかずには、生きてはいけない。と苦笑するしかない俺様であった。
カテゴリ:松永久秀くんの日記 | 2009-06-17 公開
« 北条氏康くんの日記:第26回 謙信からのプレンゼントⅡ 小西行長くんの日記:第26回 公園デビュー »
ランダムデイズ
- 豊臣秀吉くんの日記:第50回 小田原天命
- 毛利秀元くんの日記:第11回 運命の人
- 豊臣秀吉くんの日記:第48回 北野大茶湯
- 藤堂高虎くんの日記:第14回 英雄とプー太郎
- 藤原惺窩くんの日記:第16回 孤独を選んで