松永久秀くんの日記:第36回 助けてやりたい女
この世にただ一人、この俺様をふった女というのが、実はいる。今度、信長が攻めようとする国は、たまたま、その女が住む国だ。
俺様にはもう関係ない女だし、既に他の国に逃げたかもしれない。それ以前に、身分が高くて、頭も顔もそこそこいい男と結婚しているかもしれない。俺様が心配するまでもないかもしれない。
それでも俺様は今日、信長に頭を下げた。女の名前を書いた紙を信長に渡し、この度のいくさから、もしその女を見つけたら逃してやってほしいと、俺様は頭を下げた。身分の高い美人か何かかと信長に聞かれ、俺様はどこにでもいる、普通の女だと答えた。
無条件でわしにそんな女を救えというのか、これは面白い、光秀に申し伝えておく、と信長は何故か俺様の申し出を、あっさりOKした。
人生というのは、こいつにだけは頭を下げたくはないという人間に、頭を下げなければならない場面が何度もある。それでも仕方ない。恥をかかずには、生きてはいけない。と苦笑するしかない俺様であった。
カテゴリ:松永久秀くんの日記 | 2009-06-17 公開
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