真田幸村くんの日記:第13回 浮遊した存在
今日は徳川とのいくさに向けての、戦略会議が、大坂城であった。私は豊臣譜代家臣に向かって、ひとつ提案してみた。
「大坂城は、ぐるりと大きな堀に囲まれていているので、徳川も大坂城を容易には攻め落とすことができないかと存じます。しかし、大坂城の南東にだけは堀がないので、南東にもなんらかの対策をせねば、我等の城は・・・我等・・・我・・・等???」
私はことばに詰まった。戦略会議に出席している盛親先生(長宗我部盛親)が、「どうした、真田幸村。」と私に声をかけてくれた。私はすみません、何でもありませんと言って、話を続けた。
私は派遣元のデンプスタッフから単に、大坂城に派遣されている身。大坂城で徳川家康の首を取りたいけれど、明日はどこの城に飛ばされるかわからない。ハケンの私が、大坂城を我々の城とか堂々と言ってもいいものだろうか。
ハケンをやっていると時々、自分が一体どこの何者であるか、わからなくなってしまう。浮遊した存在になってしまう。それでも私は、堂々と自分の勤め先は大坂城です、と胸を張って言いたい。職業形態など関係ないはずなのだから。
カテゴリ:真田幸村くんの日記 | 2008-09-17 公開
« 松永久秀くんの日記:第27回 蜜の味 小早川秀秋くんの日記:第13回 雨ニモマケテ »
ランダムデイズ
- 藤原惺窩くんの日記:第19回 博士・姜沆、日本に至る
- 藤堂高虎くんの日記:第23回 すれ違うように
- 豊臣秀吉くんの日記:第49回 北条氏照の瞳
- 石田三成くんの日記:第42回 タンポポの綿毛と面積の単位
- 藤堂高虎くんの日記:第14回 英雄とプー太郎