藤堂高虎くんの日記:第12回 嫌われることもできないだろう
6月6日
嫌われることもできないだろう。
君にとって、私は数ある雑魚の一人。
ライバルなんて夢のまた夢。
君と対等である為に、私に何が足りなかったのだろう。
学?勇気?人?
確かに私は最強にダサかった。文禄元年に日本軍が朝鮮へ侵入。日本水軍を率いた私は、君率いる朝鮮水軍に巨済島・玉浦(オクポ)で惨敗。日本軍最初の敗戦将に輝いた。
私は無策で君を甘くみていた。そのあとの戦いで、目くら船(亀甲船)を目にした時、君が日本軍を撃滅すべく、いかに入念に準備を重ねていたのかを悟った。
嘲笑してもくれないだろう。
バカにしてもくれないだろう。
相手にならなさ過ぎて。
年明け明の援軍が到来し、平壌城の小西行長が敗退。首都ソウルの日本軍もソウル近郊の幸州(ヘンジュ)で朝鮮軍で敗れて、ついに日本全軍の撤退が決定された。
これで君とはお別れだ。
私から全羅左水使(チョルラチャスサ)・李舜臣(イスンシン)にサヨナラを言うよ。
君に一勝も挙げることができなかったけれど、サヨナラくらいはできるだろう。
恋人じゃあるまいし、サヨナラくらいはできるだろう。
嫌われることもできないだろう。
左水使にとって、私は数ある雑魚の一人。
ライバルなんて夢のまた夢。
君と対等である為に、私に何が足りなかったのだろう。
学?勇気?人?
忘れることができるだろうか。
恋人じゃあるまいし、忘れるくらいはできるだろう。
忘れることが、君との死闘よりつらいとかアリエナイだろう。
カテゴリ:藤堂高虎くんの日記 | 2017-06-06 公開
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