石田三成くんの日記:第45回 李舜臣の悪役

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石田三成戦国27年9月11日

私が朝鮮奉行として、大谷吉継、増田長盛らと共に、第一軍の小西行長が制圧したソウル・漢城に着陣したのが半年前。

この時、既に小西行長らの軍はソウルを北上して平壌を制圧、平壌城にいた。明への進撃も目前だった。

しかし十日前、朝鮮からの要請で明の李如松が四万の軍勢を率いて平壌城を囲み、日本軍は敗退した。平壌から脱出した小西らは、本日ソウルへ帰陣した。

ソウルの日本の諸将らは、できる限りの酒と食事で小西らを迎えた。宴会の中頃、小西は一人静かに退席したので、私は彼を追って宮殿の外に出てた。

「小西!」

と私は背後から声をかけた。小西は振り返って、

何しに朝鮮まで来た?

と私に問うた。

「小西がずっと心配だった。」

気持ち悪い。奉行として俺を採点しに来ただけだろ?

「そんなこと太閤殿下から頼まれてない。」

先鋒(せんぽう)隊として俺は落第点だ。

「平壌での敗退は運が悪かっただけだ。そう自分を責めるな。」

朝鮮の何の罪のない人々の生活を破壊しまくった俺に、自分を責めるなとは、流石太閤の側近だな。

「小西。」

日本水軍が、朝鮮水軍司令官・李舜臣(イ・スンシン)との海上戦に連戦連敗したのも運が悪かっただけか?

ソウルの夜空

ソウルの夜空

「皆でもう一度知恵を絞って、」

そうやって、この戦争に深入りすればするほど、李舜臣の活躍を際立たせるだけなんじゃないか?

俺や今、宮殿でドンチャン騒ぎしている連中はともかく、おまえに悪役は似合わないぞ。

と小西は言い残してこの場を去った。

朝鮮語が堪能な小西の方がよほど――

私はソウルの日本軍が制圧しきれなかった星が輝く夜空を見上げた。

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